スリープテックとは?
注目の背景や市場規模、ビジネス参入できる商品・サービス事例

昨今、睡眠の質向上への革新的アプローチとして「スリープテック」が注目を集めています。

本記事では、スリープテックの基本概念から市場動向・主要な製品・サービスの種類までわかりやすく解説します。

また、様々なスリープテック製品の特徴や企業の取り組み事例、スリープテック製品の販路拡大に役立つ展示会情報も紹介します。睡眠の質向上に関心を持つ個人はもちろん、睡眠に関する商品・サービスを既に展開している企業やスリープテック市場への参入を検討する事業者の方はぜひ参考にしてください。

 スリープテックとは

スリープテックとは

スリープテック(SleepTech)とは、IT技術・AIなどの先端テクノロジーを活用して睡眠の質を向上させるための製品・サービスの総称です。人生の約3分の1の時間を占めるといわれる睡眠を科学的に分析し、個人に最適な改善策を提供することを目的としています。

具体的な製品・サービスとしては、睡眠の状態を記録し分析するスマートフォンアプリ・快適な眠りをサポートするスリープウェア・睡眠中の体動やいびきをモニタリングするスマートベッドやマットレス・音や香りで入眠を促す機器など多種多様な製品が開発されています。

かつては医療・研究機関のみで利用されていた睡眠計測技術が、今では一般消費者にも身近な存在となり日々の睡眠改善に役立てられています。

 スリープテックが注目されている背景と睡眠不足による影響

スリープテックが注目されている背景と睡眠不足による影響

近年、睡眠の質・量が心身の健康や仕事の生産性に大きく影響することが科学的に明らかになってきました。日本人の睡眠時間は世界各国と比較しても少ない傾向にあり、睡眠で休養がとれている者の割合も減少傾向にあります。

このような社会背景のもと、睡眠の問題を科学的に分析し解決するスリープテック製品・サービスが急速に普及しています。

近年はテクノロジーの進化によってスマートウォッチ・アプリ・スマート寝具などを通じて日常的に取得できるようになり、個人の睡眠パターンを把握して最適な睡眠環境を整えることが可能になっています。

以下ではスリープテックが注目される背景にある睡眠問題の実態と睡眠不足がもたらす様々な影響について解説します。

睡眠の質が心身の健康リスクにつながる

近年、質の悪い睡眠は心身の健康に悪影響を及ぼすことが広く認識されるようになってきました。特に日本では睡眠時間の短さや質の低下が社会問題となっています。

厚生労働省の「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、睡眠で十分な休養がとれていると感じる人の割合は74.9%にとどまり平成21年の調査から減少傾向が続いています

さらに深刻なのは、6時間未満の短時間睡眠者の割合が男性で38.5%・女性で43.6%に達していることです。特に働き盛りの年代では、男性の30~50歳代・女性の40~60歳代で4割以上が6時間未満の睡眠時間となっています

また、近年は睡眠時に呼吸が何度も止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」や「不眠症」の増加によって睡眠の質が低下してしまうケースも多く見られます。

精神面でもストレスホルモンであるコルチゾールの調節機能に影響し、心理的な不安定・うつ症状のリスク増加につながることが報告されています。

このように睡眠の質・量は心身の健康維持に不可欠な要素であり、その改善を科学的にサポートするスリープテックへの注目が高まっています。

※出典:厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要

睡眠の質が労働生産性の悪化につながる

仕事の生産性と睡眠時間の関連性は世界中の多くの研究によって実証されています。日本人勤労者を対象としたある研究では、睡眠時間が6時間未満の人は睡眠時間が7~8時間の人と比較して仕事の生産性が有意に低下することが示されています。適切な睡眠時間を確保できないと集中力・判断力・創造性が低下して業務効率が悪化するのです。

また、不眠症の症状がある場合も仕事の生産性に影響します。同じく日本人勤労者を対象とした研究では、不眠症の重症度が高くなるほど仕事の生産性低下が顕著になることが明らかにされています。短時間睡眠の習慣化によって蓄積される「睡眠負債」は、精神的健康の悪化・日中の眠気増加・仕事の生産性低下と強く関連しています。

企業の生産性向上の観点でも睡眠不足・睡眠負債への積極的なアプローチは不可欠であり、その手段としてスリープテックが注目されています。

 スリープテック市場の規模拡大

スリープテック市場の規模拡大

株式会社グローバルインフォメーションの調査によると、スリープテックデバイスの世界市場規模は2023年時点で225億3,000万ドル(日本円で約3兆5,000億円)でした※1。今後2031年までの年平均成長率は18.31%、2031年には862億5,000万ドル(日本円で13億得円超)に達すると予測されています※1

さらに、スリープテックデバイスの特許出願件数は2013年の19,635件から2023年には68,873件へと劇的に増加している状況です※1

また、株式会社矢野経済研究所の調査によると、2023年の国内のスリープテック市場規模は105億円(前年比175%)へ急速に拡大するとも予測されています※2

この成長を支える要因としてはセンサー技術の高機能化・小型化が挙げられます。近年スマートフォン連携型・リストバンド型・イヤホン型など多様な睡眠計測デバイスが登場し、一般消費者でも手軽に睡眠の可視化が可能になりました。

市場規模拡大に伴って参入企業も多様化しており、従来の医療機器メーカーに加えて寝具メーカー・電機メーカー・大学発のスタートアップなど幅広い業種からの参入が見られます。特筆すべきは業界の垣根を越えた合同プラットフォームの形成という新たな動きです。

法人向けサービスも拡大しており、健康管理の一環として従業員の睡眠状態を評価・改善するソリューションの導入も進んでいます。睡眠・健康・生産性の関連性を示す研究が蓄積されていることも市場拡大を後押ししています。

今後も睡眠計測デバイスの技術革新による種類の多様化・精度向上・取得できる生体情報の質や量の充実が予想されており、スリープテック市場の成長はさらに加速するでしょう。

 スリープテックの主な製品やサービス

スリープテックの主な製品やサービス

スリープテック市場では、睡眠の質を向上させるための以下のような製品やサービスが登場しています。

  • 睡眠を管理するアプリ
  • ウェアラブルデバイス
  • スリープテック照明
  • スリープテックベッド
  • リカバリーウェア

代表的なスリープテック製品とそれぞれの特徴や活用方法について解説していきます。

睡眠を管理するアプリ

「睡眠管理アプリ」は最も身近で手軽に利用できるツールです。これらのアプリは睡眠時のデータを記録・分析し睡眠の質や改善ポイントを可視化することで、ユーザーの睡眠習慣改善をサポートします。

多くの睡眠アプリは、スマートフォンのマイク・センサーを使って睡眠中の音(いびきなど)や体の動きを記録します。さらに高度なアプリは外部センサーと連携し、より詳細な睡眠データを収集します。

例えば最新の製品では、スマートウォッチ・ヘルスケアバンドなどの腕に装着するデバイスと連携し、睡眠中の動作・心拍数・体温・睡眠時間などの基本データに加えて脳波や眼球運動まで計測できるものもあります。

これらのデータをAIが分析することで睡眠サイクルの把握・最適な起床タイミングの予測が可能になります。特に浅い睡眠のタイミングでアラームを鳴らすスマートアラーム機能は、朝の目覚めを改善する効果があるといわれています。

また、長期間のデータ蓄積によって生活習慣と睡眠の質の関連性を見出し、個別化された改善アドバイスを提供するアプリも増えています。

ウェアラブルデバイス

「ウェアラブルデバイス」は身体に装着して使用する健康管理機器です。手首に装着するスマートウォッチ・フィットネストラッカーが代表的で「加速度センサー」と「光学式心拍計」を使って睡眠状態を計測します。

例えばApple Watchでは、加速度センサーと心拍数センサーを組み合わせてレム睡眠・コア睡眠・深い睡眠などの睡眠ステージを検知します。ユーザーはウォッチの睡眠アプリで基本データを確認し、iPhoneのヘルスケアアプリではより詳細な情報(睡眠時間・心拍数・呼吸数など)を確認できます。

また、Fitbitのような活動量計も睡眠管理においては先駆的存在です。同社は2009年から睡眠機能を提供し、これまでに220億時間以上の睡眠データを蓄積しています。最新のFitbit Premiumサービスでは「睡眠プロフィール」機能を提供し睡眠時間の記録だけでなく同年代との比較や改善ポイントの分析など、より深い睡眠インサイトを提供しています。

スリープテック照明

「スリープテック照明」は光の波長や強度を調整することで人間の自然な睡眠・覚醒リズムをサポートする照明システムです。特に注目すべきはブルーライト(青色光)の制御機能です。

就寝前にはブルーライトの強度を自動的に抑制し、より赤みがかった長波長の光を優先的に放出します。この機能によって脳の覚醒作用を抑え睡眠ホルモン「メラトニン」の自然な分泌を促進し、より早く深い眠りに入ることができます。

多くの製品では就寝時間にあわせて徐々に光の色温度と明るさを変化させ、自然な夕暮れの環境を再現しています。

一方、朝の起床時には日光に匹敵する強度の白色光を発してメラトニンの分泌を抑制し、体内時計を「朝モード」に切り替えます。この機能によってアラーム音に頼らずとも自然な目覚めを実現することが可能です。

最新の機器では、スマートフォンのアプリと連携して使用者の睡眠状態をモニタリングし、最適なタイミングで光の強度・波長を調整することで効果的な睡眠のサポートを提供するものもあります。

スリープテックベッド

「スリープテックベッド」は睡眠データのモニタリングと物理的な調整機能を組み合わせた寝具です。従来のベッドと異なり、内蔵センサーによってリアルタイムで睡眠時の体動・呼吸・心拍数などのバイタルデータを収集し分析します。

これらのベッドはスマートフォンアプリと連携し収集したデータを視覚化でき、睡眠パターンの分析結果に基づいた個別アドバイスを提供して継続的な睡眠改善をサポートします。

さらに一部の製品では、設定した起床時間に近づくと自動でベッドの背もたれを起こして自然な目覚めを促す機能も備えています。

リカバリーウェア

「リカバリーウェア」は睡眠中に着用することで身体の回復を促進する特殊な繊維を使用した衣類です。

通常の寝間着と異なり科学的な知見に基づいて開発された機能性ウェアとして注目を集めています。体を締め付けにくい設計と全方位ストレッチ素材で快適な着心地を実現します。

特殊繊維素材「PHT」などを採用した製品では、ナノプラチナなどの鉱物を繊維に練り込み遠赤外線を放出する技術が用いられています。この遠赤外線が血行を促進して筋肉のコリ・ハリを和らげる効果があるとされています。

具体的な効果としては、疲労の回復・改善・新陳代謝の向上・コリの軽減などが挙げられます。

快眠グッズフェア

※快眠グッズフェアはライフスタイルWeekの構成展です。

ライフスタイル Week


 スリープテックの日本企業の事例

スリープテックの日本企業の事例

日本企業もスリープテックの分野で革新的な製品・サービスを次々と生み出しています。日本を代表するスリープテック企業の先進的な取り組みや活用事例を3つ紹介します。

  • 西川株式会社のマットレス
  • 京セラ株式会社の仮眠サポートシステム
  • 株式会社セゾンテクノロジーの脳波計測デバイス「InSomnograf(インソムノグラフ)」による睡眠検査

西川株式会社のマットレス

1566年に創業した日本の老舗寝具メーカー西川は、450年以上の歴史と伝統を持ちながら最新の睡眠科学を取り入れた製品開発を行っています。同社の代表的なスリープテック製品がコンディショニング・マットレス「AiR(エアー)」シリーズです

AiRマットレス最大の特徴は、クッション性に優れたウレタン素材の表面に施された独自の凹凸構造にあります。この構造によって身体のラインにあわせてマットレスが自然にフィットし、体圧の効果的な分散が可能になりました。また、ベース部分が身体をしっかりと支えて自然な寝姿勢を維持し、寝返りもスムーズに行えるよう設計されています。

東京有明医療大学との共同研究では、寝返り時に働く7つの筋肉(大胸筋・三角筋後部・腹斜筋・大腿四頭筋など)の活動を筋電計で測定した結果、AiRマットレスを使用した場合は柔らかすぎるマットレスに比べて筋活動が減少することが確認されています。

このような科学的検証に裏付けられた快適性は多くのアスリートからも支持され、質の高い睡眠によって翌日のパフォーマンス向上を目指す「睡眠コンディショニング」の考え方は一般ユーザーにも広く受け入れられています。

京セラ株式会社の仮眠サポートシステム

京セラ株式会社は、仮眠をAIでサポートするシステム「sNAPout®(スナップアウト)」を開発しました。「サッと寝られて、スキッと起きられる」をコンセプトにどこでも効果的な仮眠(パワーナップ)を取れるよう設計されています。

「慣れない環境でなかなか寝付けない」「仮眠から起きた後、体がだるい」などの問題を解決するため、同社が研究していたレーザードップラー式血流量センサーを活用して設計しています。イヤホン型デバイスに組み込まれた血流量センサーが、リアルタイムに「睡眠段階2」(深い睡眠状態)を高精度で判定するAI技術を搭載している点が特徴です。

また、左右の耳に異なる周波数の「入眠音」を流すことで脳に振動を感じさせて入眠を促進する技術を採用しています。

研究によると「睡眠段階2」に入ってから約9分後に起きると目覚めが良いことが判明しており、sNAPout®はこの知見に基づいて最適なタイミングでアラームを鳴らす機能も備えています。

株式会社セゾンテクノロジーの脳波計測デバイス「InSomnograf(インソムノグラフ)」による睡眠検査

株式会社セゾンテクノロジーは、社員の健康管理と生産性向上を目的として脳波計測デバイス「InSomnograf(インソムノグラフ)」を用いた睡眠検査プログラムを導入しています※1

「InSomnograf」は株式会社S'UIMIN(スイミン)が提供するデバイスで、自宅など普段と同じ寝室環境で利用可能です※2。睡眠時の脳波をAIが解析し、約20項目の睡眠指標を一晩ごとに算出します。この機能によって従来は医療機関で受ける必要があった専門的な睡眠評価がより身近に実施可能になりました。

セゾンテクノロジーの社員は5日間の検査結果をもとに専門家による最終報告書を受け取ります。基準値未満の場合は会社が専門医療機関の受診料の一部を負担する支援制度も設けられています。

睡眠の質向上は日中の集中力や判断力に直結するため、社員の健康支援と業務パフォーマンス向上の両面で効果が期待されています。

 スリープテック製品の販路拡大なら
 「ヘルス&ビューティーグッズEXPO快眠グッズフェア」へ

スリープテック製品の販路拡大なら「ヘルス&ビューティーグッズEXPO快眠グッズフェア」へ

スリープテック製品の販路拡大や新規市場参入を検討している方には「ヘルス&ビューティーグッズEXPO」内で開催される「快眠グッズフェア」への参加がおすすめです。

この展示会は、スリープテック・快眠グッズ・美容雑貨・ボディケア・健康食品など健康と美容をテーマにしたBtoBの専門展です。「ライフスタイルWeek」の構成展示会のひとつとして年3回開催され、約1,100社が出展、全国から約5万名のバイヤーが来場する大規模なビジネスイベントとなっています。

特に「快眠グッズフェア」では、最新のスリープテック製品やサービスが一堂に会するため、新たな販路創出を目指す企業にとって貴重なビジネスチャンスとなります。

来場を検討されている方は事前登録すれば無料で入場可能です。スリープテック製品の最新トレンド・製造・販売に関する情報収集に活用できるでしょう。

また、スリープテック製品の製造・サービス提供・OEMの受注などを行っている企業様は、出展側としての参加も可能です。自社製品のアピールや新規リードの創出や受注につながる顧客獲得の機会としてぜひご活用ください。

 スリープテックは睡眠の質を高める有効的な手法

スリープテックは睡眠の質を高める有効的な手法

スリープテックは、IT技術・AIなどの最先端テクノロジーを活用して睡眠の状態を科学的に「可視化」し、質の高い睡眠をサポートするものです。

かつては医療機関でしか測定できなかった睡眠データが、今では睡眠管理アプリ・ウェアラブルデバイス・睡眠環境を整えるスマート照明・体圧分散効果を持つマットレス・身体回復を促すリカバリーウェアなど多彩な形で一般消費者にも身近なものとなっています。

国内企業も積極的に参入しており、西川の体圧分散マットレス「AiR」・京セラの仮眠サポートシステム「sNAPout®」・セゾンテクノロジーの睡眠検査プログラム導入など独自性の高い製品・サービスが次々と登場し、活用されています。

スリープテック製品の販路拡大・市場参入を検討している企業には「ヘルス&ビューティーグッズEXPO快眠グッズフェア」への参加がおすすめです。約1,100社が出展し5万名のバイヤーが来場するこのBtoB専門展は、最新トレンドの把握や新規顧客獲得の絶好の機会となるでしょう。

来場・出展ともにメリットがあるため、拡大するスリープテック市場でのビジネスチャンス創出につなげてください。

快眠グッズフェア

※快眠グッズフェアはライフスタイルWeekの構成展です。

ライフスタイル Week


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