~本講演の魅力~

2020年のベータ上陸を機に、小売業界に急拡大した「売ることを主目的としない」ビジネスモデル
そごう・西武百貨店は2021年、トレンドの発信地渋谷に「CHOOSEBASE SHIBUYA」をオープン。老舗百貨店の常識を覆す空間、サービスを創出し、新たな客層としてZ世代の取り込みにも成功した。
本講演では、b8ta、CHOOSEBASEのトップが特別対談。業界の最先端を走る二人が、小売りの未来を自由に語る。リアル店舗の価値とは?データ活用とは?感動を呼ぶ顧客体験とは?
大手企業向けDX支援で活躍する経営者、ROUTE06 遠藤 崇史氏がモデレーターを務め、講師二人の素顔に迫る!


ベータ・ジャパン(株) 代表取締役 北川 卓司氏

「日本市場で店舗を増やせたのは、偶然ではない。

日本人にフィットする接客、空間づくりを強く意識しました。」

「講演では、リアル店舗の価値を改めてお伝え出来たら」と語る北川氏。言葉の端々まで説得力がある。

インタビュアー:
2020年の1号店OPENから3年。今春は、西日本初上陸(梅田店OPEN)と伺いました。
この急成長は想定通りでしょうか?

ベータ・ジャパン 北川氏:
ありがとうございます。2019年に事業を立ち上げ、瞬く間にコロナ禍に突入しました。全く想定通りではなかったですが、現時点で5店舗開業できたことは良いペースかなと考えます。
もともと自身のキャリア形成において、「自分がワクワクする商品やサービスを、日本に持ってきたり、海外に展開したりしたい」という想いがありました。ベータでは、それを叶えられていると実感しています。

インタビュアー:
ベータ・ジャパンの最大の魅力は何でしょうか?

ベータ・ジャパン 北川氏:
人材です。「リテールを通じて人々に“新たな発見”をもたらす」というミッションを体現しようと、ともに走ってくれる仲間が集まっています。異業種からの転職など、ユニークなバックグラウンドを持った社員も多いです。
店舗スタッフも、店舗の垣根を超えて有志で集まり、定期的に情報交換するような土壌があります。日頃のコミュニケーションが闊達なおかげか、新しい仲間が増えてもすっと馴染めるオープンなカルチャーが育っています。

インタビュアー:
国内店舗を順調に増やし、今後はアジア進出も狙っていると伺います。
成長の背景には、どのような工夫がありますか?

ベータ・ジャパン 北川氏:
開業当初から、日本市場へのローカライズは、かなり意識しました。もともとベータは米国発祥で、自身も現地で複数の店舗を視察しました。アメリカでは、店舗スタッフが1~2名しかおらず、特にお客様に声を掛けることもなくて。それを見て「このモデルをそのまま日本に持ってきても、体験価値は上がらないだろうな」と思いました。というのも、例えば何軒かショッピングして、後日も記憶に残っているのは、やはり販売員と会話したお店ではないでしょうか。それに、日本のお客様は「せっかくお店に来たからには専門スタッフから色々教えて欲しい」と思う方も多いです。
ベータ・ジャパンでは、店舗スタッフを複数名配置し、接客時間も長めです。商品を売り込むというより、物腰柔らかく説明することを意識しています。こうした細やかな積み重ねが、店舗拡大に繋がったと考えています。


「昨今、『店舗の持つ役割とは?』という議論も多いが、純粋にワクワクさせてくれ、

街の景色をも彩るリアル店舗の面白さを、皆様に伝えたい。」  

インタビュアー:
講演への意気込みをお願いします。

ベータ・ジャパン 北川氏:
純粋に「リアル店舗って楽しい」と改めて感じていただけるような講演にしたいですね。昨今、どうしてもオンライン・オフラインを切り分けたり、リアル×デジタルとは言いつつ「店舗の持つ役割ってなんだっけ?」という議論がされがちだったりします。ただ、やはりリアル店舗には、そこでしか得られない体験価値や、街の表情を彩る価値があると思います。このあたり(原宿)も、もしもお店がなかったら、きっと殺風景でしょうから。
講演ではビジネスモデルや、経験に基づく成功事例もお話しさせていただきますが、受講者の皆様にシンプルにワクワクしていただけたら嬉しいです。当社と同じく、渋谷に店舗を構える伊藤さんとご一緒できることも、とても楽しみです。

「伊藤さんとの対談、とても楽しみ。新しい小売りの在り方を、ポジティブに伝える講演にしたい」と北川氏。


(株)そごう・西武 CHOOSEBASE Director 伊藤 謙太郎氏

「Z世代の方々が写真を撮りたくなるような、店舗づくりを強く意識しました。

お客様がどんどんSNSで拡散してくださって、集客は好調です。」

「事業開始には社内の説得も苦労したが、新しい客層を取り込めた」と語る伊藤氏。広い視点で社会全体を捉える姿が印象的。

インタビュアー:
伊藤様は広告代理店やIT企業を経て、現職にご入社されました。珍しいご経歴ですが、転身された理由は?

CHOOSEBASE 伊藤氏:
広告代理店やIT企業では、クライアントの意向を尊重するあまり「本当はこうした方が良いのに」と思うことがあっても、全ては実現出来ませんでした。そんな経験が積み重なったことと、この小売市場という巨大な舞台を、自分の知見を活かして「もっと良くしたい!」という気持ちが強まり、異業種ですが飛び込みました。前職でそごう・西武をクライアントとして担当させてもらったご縁もあり、当社に決めました。

インタビュアー:
いざ、そごう・西武に飛び込んでみて、いかがでしたか?

CHOOSEBASE 伊藤氏:
良くも悪くも老舗企業ですので、新規事業には慎重すぎるところもあって。正直、最初は面食らいましたね。異端児扱いもされました(笑) 昔からの慣習は変えづらかったので、ゼロベースで考えた企画がCHOOSEBASEでした。ただ、企画を通すまでに、役員会は30回に渡りました。CHOOSEBASEはその場で商品購入が可能ですが、基本的には値札はつけず、商品の横に設置している「二次元コード」をお客様ご自身で読み取ってもらい、CHOOSEBASE独自のWEBカタログに繋げるビジネスモデルです。多くの役員から「本当に儲かるのか?」と反対を受けてました。現金を一切使用しないキャッシュレスも、最初は「ありえない」と言われましたね。一つ一つ論理的に説得し、粘り強く進めました。徐々に味方も増えて、何とかスタート出来たときは、本当に嬉しかったです。


「個性が多様化する時代。

キュレーションのこだわりは、僕らが一つの価値に縛られすぎないこと。」

インタビュアー:
2021年9月にCHOOSEBASE SHIBUYAがオープンして1年半。振り返って、いかがですか?

CHOOSEBASE 伊藤氏:
従来の顧客ではない「若い層」のお客様が、明確に増えました。しかも「インスタを見てCHOOSEBASEを知りました」という方が多くて。これは開業前の戦略が上手くいった証です。というのも、いかに広告費を掛けずに集客するかを考え、売り場の見せ方は徹底的に工夫しました。洞窟のような空間、フォトスポットの多さも、それが理由です。お客様が、店舗での写真をSNSにアップし、拡散してくれているおかげで、集客は好調です。

CHOOSEBASEの店内。モノトーンの什器に、色とりどりの商材が映える。フォトスポットも多数。

もう1つは、商品選定のときは「フラットな目線」が大切だと気付きました。今は色々な人がそれぞれ情報発信する時代で、インフルエンサーの方々もたくさんいます。個性が多様化した世の中ですので、僕らがキュレーションするときも、「絶対にこれを置く!」というよりは、真新しいモノでも柔軟に取り入れるようにしています

インタビュアー:
今回の講演を、どのような方に聴いてほしいでしょうか?

CHOOSEBASE 伊藤氏:
小売りの世界で「何か変えたい」と思っている方や、スタートアップ企業の経営者には、参考になるかもしれません。受講者の皆様にご満足いただけるよう、精一杯お話しさせていただきます。

「小売業界を変えたいと思っている方や、スタートアップ企業で活躍する方に講演を聴いていただけたら」と語る伊藤氏。


モデレーター(株)ROUTE06 代表取締役 遠藤 崇史氏

「リアル店舗の価値に、デジタルを掛け合わせると、そのインパクトは絶大。

大手企業のDXを支援してきた立場から、今回の対談を盛り上げたい。」

「リアルをフックにデジタルを掛け合わせると、可能性は無限大」と語る遠藤氏。穏やかな語り口だが、秘めた情熱を感じる。

インタビュアー:
ご経歴を簡単にお聞かせください。

ROUTE06 遠藤氏:
新卒で金融系の企業に入社、その後は戦略コンサルティング会社を経て、2014年にECモールを起業しました。その後、アパレル企業へのM&Aを経て、ECデパートメントを運営するグループ会社の取締役を務めました。2020年にROUTE06を創業。大手企業のパートナーとして、デジタル事業拡大のためのDX支援を続けています。創業直後よりそごう・西武様や三菱マテリアル様、三菱商事様など日本の産業を支えてきた大手企業とご一緒する機会に恵まれ、この領域に強いニーズがあることを実感しています。

インタビュアー:
遠藤さんがDX支援を通じて叶えたいことは、具体的にどのようなことでしょうか?

ROUTE06 遠藤氏:
リアルの価値にデジタルの技術を掛け合わせ、大きなインパクトを生みたいと考えています。ECモールを起業したばかりの頃、デジタルマーケティングを突き詰めることで、ECサイトの利用者を増やすことに必死でした。ECを主な販路としたデジタルマーケティングが最も効率的であると思っていたのですが、当時経営していた会社の(株)ストライプインターナショナルへのM&Aをきっかけに、その考えを大きく改めることになりました。全国の店舗で日々販売スタッフがお客様へ接客し、ブランドのファンになってもらうことが、店頭だけでなくECの利用者増にも大きく貢献している事実を目の当たりにしたのです。
店舗では出店後に賃料や販売員の人件費が増えるため、直感的にはECの方が事業として収益率が高いように思われがちですが、販路がEC主体の場合は WEBマーケティングなど広告宣伝費やシステム費が重くなります。どちらに優劣があるという話ではなく、店舗とEC一体となった顧客サービスやシステムを構築すれば、集客や物流のコスト効率化を実現でき、また顧客のLTVも上昇するという分析結果も出ております。当社の支援によって、小売業や、他の業界も含め様々な企業に、リアルにデジタルを掛け合わせたサービスを提供し続けたいですね。

インタビュアー:
創業から3年。やりがいを感じるのは、どのようなときでしょうか?

ROUTE06 遠藤氏:
ご支援させていただいた事業が成長していくことで、顧客企業のプロジェクトチームの方々がステップアップしたり、社内外の多くの方に注目されたりすると、パートナーとして大変嬉しく思います。当社はCHOOSEBASEのプロジェクトに企画段階から参画していました。本講演に登壇する伊藤さんが、事業立ち上げに苦労されている様子も近くで見ていましたし、私自身も一緒に汗を流しました。ですから、CHOOSEBASEが開業して多くのメディアで取り上げられただけでなく、事業も順調に成長されていることでリーダーである伊藤様が活躍の幅を広げていらっしゃる様子を見ると、自分のことのように嬉しくなります


「北川さんも伊藤さんも、新しいビジネスに果敢に挑戦してきた方々。

お二人の知見を引き出し、小売業をポジティブに照らす講演にしたい。」

インタビュアー:
講演への意気込みをお願いします。

ROUTE06 遠藤氏:
ベータ北川さんも、CHOOSEBASE伊藤さんも、「このビジネスは面白い」と可能性を見出し、それをカタチにすべく挑戦を重ねてきた方々です。変革者の先輩方がどうやってステップアップしてこられたのか、成功事例や苦労話などエピソードを引き出しながら、お二人の素顔に迫りたいと思います。受講者の皆様が、講演後に明るい気持ちになるような、ポジティブな時間にしたいと思いますので、どうぞご期待ください。

「北川さん、伊藤さんの素顔に迫り、リアルなエピソードを引き出したい」と意気込みを語る遠藤氏。

~ベータ・ジャパン(株) 北川氏 略歴~
2005年に独立系PR会社に入社、その後外資系IRコンサルティング会社、ウィーン(オーストリア)に本社を構えるロモグラフィー日本支社CEO(最高経営責任者)を経て、フランスEMLYON経営大学院でMBAを取得。2015年、ダイソン世界初の旗艦店「Dyson Demo表参道」をオープン、東京統括部長を歴任。2019年末よりb8ta Japanに参画し、日本事業立ち上げに従事。

~(株)そごう・西武 伊藤氏 略歴~
広告代理店・IT企業を経て、18年7月にそごう・西武入社。19年春より新規事業の策定に取り掛かり、Future of Retailをテーマとした新業態「CHOOSEBASE SHIBUYA」を21年9月にオープン。百貨店が培ってきた強みを活かしながら、テクノロジーを活用することで、消費体験を向上させることに挑戦中。

~(株)ROUTE06 遠藤氏 略歴~
東北大学大学院情報科学研究科を卒業後、株式会社日本政策投資銀行、株式会社ドリームインキュベータを経て、株式会社スマービーを創業、代表取締役CEOに就任。アパレル大手企業への同社のM&Aを経て、株式会社ストライプデパートメント取締役CPO兼CMOに就任。株式会社デライトベンチャーズにEIRとして参画後、ROUTE06を創業。

北川氏、伊藤氏、遠藤氏の講演

「最先端の『売らない店』『売る店』トップ対談 ~メディア化する店舗とは?~」

2023年4月5日(水)12時30分~13時45分(東京ビッグサイト西展示棟4階)

◆展示会概要◆
第6回 ライフスタイルWeek春
【会期】2023年4月5日(水)~7日(金)
【会場】東京ビッグサイト
【主催】RX Japan株式会社