「推し活」とは?
活動内容・消費行動や人気のグッズ・イベントを紹介

「推し活」について、SNSやニュースなどで言葉を聞いたことはあるものの、詳細がわからない方もいるかもしれません。近年、推し活はますます盛り上がっており、市場規模も拡大が見込まれています。

本記事では、推し活が流行している理由や具体的な活動内容、人気のグッズやイベントを詳しく紹介します。今後の市場の見込みも紹介するので、推し活マーケティングへの参入を考えている方はぜひ参考にしてください。

 「推し活」とは?

「推し活」とは?

推し活とは、アイドルやキャラクター、俳優、VTuberなど、自分の「推し」に対して行うファンの活動全般をさします。「推し」は、自分がとくに好きで応援している対象をさす、「推す(応援する)」から派生した言葉です。

仕事のように計画、努力して積極的に行う推し活は「推し事(おしごと)」と表現されることもあります。近年は、アイドルやアニメキャラクター以外にも、スポーツ選手やお笑い芸人、プロゲーマーなど、幅広い業界で推し活ビジネスの取り組みが進められています。

推し活が普及した背景

推し活の普及状況は、コロナ禍前後で変化が見られます。コロナ禍でイベントへの参加や外出が制限されるなか、世間では自分の好きな物事にお金や時間を消費する傾向が比較的強くなりました。

2022〜2023年以降に規制が緩和され、娯楽への消費が加速した他、SNSの普及とともに自分の好きな物事を発信する機会が増えたことが、推し活の市場規模拡大の要因のひとつとされています。2021年には「推し活」がユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされ、メディアでも「推す」や「推し」がよりカジュアルな言葉として使われるようになりました。

消費者庁の調査では、その場でしか得られない体験にお金や時間を使う「トキ消費」への移行が若者の消費行動に取り上げられています。推し活もトキ消費のひとつです。推す対象がいることは仕事へのモチベーションや精神的な充足に繋がっているとし、推し活を行うことはポジティブに捉えられています。

出典:国民生活センター「推し活」を知る

推し活の対象

推し活で推す対象は、3次元の人物、2次元のキャラクター、人物以外など様々です。具体例には以下のものが挙げられます。

ジャンル

対象の一例

3次元

アイドル、アーティスト、歌手、俳優、声優、スポーツ選手、Youtuber、ゲーム実況者、コスプレイヤー、ニュースキャスター、歴史上の人物など

2次元

アニメ・ゲーム・漫画のキャラクター、ボーカロイド、VTuber、マスコットキャラクターなど

人物以外

建築物(お寺や廃墟など)、乗り物(鉄道、車、飛行機など)、仏像、動物、食べ物・飲み物、ブランドなど

上記のとおり、人それぞれの趣味・嗜好に応じて、幅広いジャンルが推し活の対象とされます。

推し活の具体的な活動内容

前述のとおり、推し活は自分が推している対象を応援する行動全般をさします。推し活の具体例は以下のとおりです。

行動

具体例

推しに会いに行く

● 推しのライブやコンサート、ファンミーティングに参加する

● 推しのコラボカフェや推しにゆかりのある場所を訪れる

● 建物や乗り物などの人物以外の場合は、直接現地に行って写真を撮る など

推しの関連商品を買う

● 推しのグッズや作品、コラボ商品を購入する

● 推しのおすすめする商品や愛用品を購入する など

推しを広める

● SNSやネットで推しの情報を発信・拡散する

● 推しの魅力を語る など

推しのイメージに染まる

● 推しをイメージした部屋に模様替えをする

● 推しのイメージカラーの商品を購入して身につける

● ネイルやヘアカラー、服装で推しをイメージしたコーディネートをする など

推しを感じる

● 推しの出演する番組・ドラマや動画などを観る

● 推しのことを考える、推しに感謝する

● 推しの誕生日や記念日を祝う など

上記はあくまで一例であり、推し活の具体的な行動に定義はありません。推しに関連する様々な行動を総称して「推し活」と呼びます。

推し活とオタ活や関連用語の違い・意味

推し活と似た意味で使われる言葉には「オタ活」をはじめとする様々な用語があります。推し活やオタ活は、業界やファンコミュニティでは微妙なニュアンスの違いで使い分けられることがありますが、ほぼ同義です。

推し活の関連用語と概要は以下のとおりです。

用語

概要

オタ活(ヲタ活)

● 「オタク活動」の略称

● コンサート・イベント・握手会への参加など、オタクの対象に関連する活動

オタク(ヲタク)

● 特定の対象にこだわりを持ち、お金や時間を消費する人

〇〇担当(〇〇担)

● アイドルグループなどのなかで特定のメンバーを応援する人

● 自分の担当を「自担」、グループ全体を応援することを「オール担」ともいう

〇〇推し

● 「誰かにおすすめしたくなる」のニュアンスを含む、好きなアイドルやキャラクター、俳優など応援する対象

● 明確な定義はないが、〇〇担当と比べるとソロ活動をする人や人以外のものなど、より広い対象を示す傾向にある

単推し

● グループのなかで特定の1人を応援すること

箱推し

● 特定の誰かではなく、推している事務所やグループをまとめて応援すること

推し色(推しカラー)

● 推しのイメージカラー

● 公式が設定しているカラーもあれば、推しの身につけている服の色や髪色から、ファン同士の共通認識で設定されるカラーもある

上記の多くは推しに対する応援活動の意味で使われます。コミュニティや場面によって異なるため、微妙なニュアンスの違いが含まれるケースもあるかもしれません。

ただし、これらの用語にはあくまで内輪同士で使うことが主流のものもあるため、扱いには注意が必要です。

 推し活を支えるグッズやイベント・サービス

推し活を支えるグッズやイベント・サービス

続いては、推し活で人気のあるグッズやイベント・サービスを紹介します。

 ●     アクリルスタンドや缶バッジなどの推し活グッズ

 ●     期間限定の他社コラボ・誕生日/記念日イベント

 ●     ライブや握手会などの体験型イベント

それぞれ以降で詳しく紹介するので参考にしてください。

アクリルスタンドや缶バッジなどの推し活グッズ

推し活では様々なグッズが展開されています。人気のある推し活グッズの一例は以下のとおりです。

 ●     アクスタ

 ●     チェキ

 ●     缶バッジ

 ●     推しぬい(ぬいぐるみ)

 ●     うちわ

 ●     ペンライト

上記の他、自分の持ち物を推しのメンバーカラー(通称:推しカラー)にあわせる人も多くいます。人気の高い推し活グッズであるアクスタや、推しカラーについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

期間限定の他社コラボ・誕生日/記念日イベントなど

期間限定コラボや誕生日/記念日イベントなど、希少性を演出するイベントも人気です。誕生日は「生誕祭」と呼ばれ、限定グッズの販売やイベント開催も少なくありません。SNSでは「#〇〇生誕祭」と、ファン同士がハッシュタグをつけて盛り上がるケースもあります。

コラボ企画は、飲食店やコンビニなどとのコラボが人気です。コラボしたお店でしか買えない推し活グッズや、特定の商品を注文するともらえるグッズの展開などがあります。

ライブや握手会などの体験型イベント

ライブや握手会などの体験型イベントは、トキ消費の傾向がある10〜30代を中心に人気が高い推し活です。消費者庁のアンケートでは、10代で約30%、20代で約35%、30代で約24%の人が「今しかできない参加型の体験やコンテンツにお金を使う」と答えています

トークや質問コーナー、撮影会などファンサービスが中心の「ファンミ(ファンミーティング)」も人気です。自分が推している対象と触れ合える非日常の体験は、ファンにとってとても魅力的でしょう。

 推し活は年齢問わず幅広い世代で人気

推し活は年齢問わず幅広い世代で人気

推し活は特定の世代だけではなく、幅広い世代で人気です。ビデオリサーチが15歳以上を対象に行った調査によると、Z世代(15〜26歳)では62%以上、Y世代(27〜42歳)では40%以上、X世代(43〜58歳)では27%以上、X世代以上の59~69歳の層では24%の人は「推し」がいると回答しています

また、15~42歳の層では、推しの対象としてアイドルやアニメ・漫画キャラクターの人気が高い一方、43歳以降の層では、歌手・バンド・音楽家が最も人気です。43歳以降の層では長年活動を続けているアーティストを推している人も多く、推し歴が10年を超えているコアなファンの割合が高い傾向にあります。

若いを中心に人気の推し活ですが、中高年でも4人に1人は「推し」がいる昨今の現状を見ると、推し活は年齢問わず幅広い世代で人気であることがわかります。

 推し活の市場規模と今後の展望

推し活の市場規模と今後の展望

ビデオリサーチの調査によると、推し活の市場規模は8,000億円とも試算され、現在日本人の4人に1人は推し活に関わっているとされています。他の企業の調査では、「Z世代の8割以上はヲタ活(オタ活、推し活)をしている※1」や「中高生が推し活に使う消費額は、4人に1人が月に10,000円以上※2」とのデータもあります。

このような推し活人気を受け、近年は様々な推し活グッズの発売やイベント開催に加え、コラボや推し活向けの飲食店、店舗のオープンなど、ビジネスの側面も注目されています。

また、推し活に参加しているのは日本人だけではありません。日本のアニメは海外からの人気も高く、外国人旅行者の漫画やアニメグッズの購入が多いこともわかっています。

国土交通省の資料によると、2023年1〜3月の訪日外国人旅行者数は過去最高を記録しています※3。コロナ禍前と比べて訪日外国人旅行者数が増加していることを考えると、海外旅行客の推し活に関連する消費行動が増す可能性もあるでしょう。

これらのことを踏まえると、推し活市場は今後も拡大が見込まれる市場のひとつといえます。

推し活グッズEXPO

※推し活グッズEXPOはライフスタイルWeekの構成展です。

ライフスタイル Week


 推し活マーケティングを成功させるためのポイント

推し活マーケティングを成功させるためのポイント

推し活の市場拡大に伴い、推し活ビジネスも注目されています。推し活ビジネスとは、推し活を行う消費者のニーズに応じた商品やサービスを提供するビジネスモデルです。推し活を意識したマーケティング戦略は「推し活マーケティング」と呼ばれます。

推し活マーケティングを成功させるための具体的なポイントの一例は以下のとおりです。

 ●     推す対象であるタレントやキャラクターを主役にして商品をPRする

 ●     形や記憶に残るものにする

 ●     SNSで共有しやすいものにする

 ●     推しのキャラクター性と商品をマッチさせる

推し活をしている人は、商品やサービスではなく、推す対象に強い魅力を感じています。そのため、商品やサービスでは推す対象を全面に押し出し、、PRでもより推しを感じられるようにすると良いでしょう。

また、写真に撮って記憶に残せるものも良いですが、手にとって形に残る商品にすると、ファンにとっての価値がより高まります。

さらに、現代のマーケティングでは、拡散性の強いSNSでの共有しやすさは重要です。SNSは、ファンにとって自分の推し活をアピールできる場や、同じ対象を推すファン同士がつながる場でもあります。SNSでの共有しやすさを意識すれば、広告効果が倍増し、コアファンや新規層の獲得も期待できるでしょう。

 推し活マーケティングの事例

推し活マーケティングの事例

以下では、推し活マーケティングの具体的な事例を紹介します。

 ●     株式会社サンリオ

 ●     株式会社大創産業や株式会社キャンドゥなどの100円ショップ

 ●     ロクシタンジャポン株式会社

それぞれの事例を詳しく紹介するため、自社で行うマーケティングの参考となる部分がないか確認してみてください。

株式会社サンリオ

ハローキティやポムポムプリンで有名なサンリオは、推し活グッズを展開する企業のひとつです。サンリオキャラクターのグッズを多数展開しており、SNSで推し活に使われるハッシュタグ「#推しのいる生活」も積極的にアピールしています。

サンリオは、サンリオキャラクターが好きな人向けのグッズだけでなく、推しのアイドルやキャラクターのグッズを収納できるアイテムを多数販売しています。「うちわケース」や「アクリルスタンドホルダー」、「ぬいぐるみポーチ」など、推しのグッズを可愛く持ち運べる商品がその一例です。 

さらに、推しを象徴する色のグッズや服を購入して身につけるファン向けに「推しカラー」に対応するグッズも展開しています。推しカラーとは、自分の推しを象徴する色のことです。価格も手頃で、大人から子どもまで気軽に購入できます。

その他、女性をメインのターゲット層にしているしまむらや、女性人気が高いキャラクターが登場する呪術廻戦など、様々なお店やアニメなどともコラボしています。これらのグッズがSNSやメディアで拡散されれば、サンリオの広告効果も期待できるでしょう。

推しのグッズはもちろん、推し活のサポートアイテムを探している新規顧客を獲得できる工夫がなされた事例のひとつです。

ロクシタンジャポン株式会社

コスメティックブランドであるロクシタンジャポンは、6つ子のキャラクターが登場するアニメ作品のコラボ商品でも話題になった企業です。アニメに登場するキャラクターにはイメージカラーがあり、それぞれの色に合わせた商品が販売されました。

実写版では女性に人気が高いアイドルグループが出演し、それぞれのキャラクターを演じています。アニメとアイドル、イメージカラーをうまく活用して非売品グッズの抽選キャンペーンも開催されました。

アニメファンとアイドルファンの両方を取り込みつつ、SNSを中心に話題を集めた事例です。

 推し活マーケティングの参入に興味があるなら「推し活グッズEXPO」へ

推し活マーケティングの参入に興味があるなら「推し活グッズEXPO」へ

推し活マーケティングへの参入を考えているなら、ぜひ「推し活グッズEXPO」にご来場ください。推し活グッズEXPOは、推し活をテーマにしたBtoBの専門展で、「推し」ビジネス参入で新たな販路の創出を目指す企業のリード獲得や受注につながる展示会です。

「ライフスタイルWeek」の12ある構成展示会のひとつで、約1,100社が出展、約5万名のバイヤーが来場を予定しています。

来場登録すれば無料で入場可能で、推し活ビジネスに関する情報収集の他、新たな市場開拓や関連企業の接点を持つ場として、推し活グッズの製造・販売に関する情報収集にご活用いただけます。

また、推し活関連製品の製造やサービス提供、OEMの受注などを行っている企業様は、出展側での参加も可能です。自社製品アピールの場や、新規リードの創出・受注につながる顧客獲得の機会としてご活用いただけます。

推し活ビジネスへの参入や他社とつながる機会を求めている方は、ぜひご来場ください。

 推し活は若年層やインバウンドを中心に需要が増加する見込み

推し活は若年層やインバウンドを中心に需要が増加する見込み

推し活とは、アイドルやキャラクターなど自分が推す対象を様々な形で応援する活動をさします。推し活は、その場でしか得られない体験にお金や時間を使う「トキ消費」を重視する若年層から、ファン歴が長い中年層まで幅広い年齢層で行われる消費行動です。

仕事のモチベーションアップや精神的な充足の効果も期待できるため、推し活を行うこと自体もポジティブに捉えられています。外国人観光客もアニメや漫画などの推し活グッズを購入する傾向があるため、訪日外国人増加の傾向にある昨今、今後は推し活グッズの需要増加も期待できるでしょう。

推し活マーケティングへの参入を考えているなら、推し活グッズEXPOにぜひ足を運んでください。推し活グッズEXPOは「推し活」をテーマにしたBtoBの展示会です。来場登録すれば無料で入場可能で、推し活ビジネスに関する情報収集の場としてご活用いただけます。出展側で参加すれば、新たな市場開拓や関連企業と接点を持つ場として活用可能です。

ぜひこの機会に推し活グッズEXPOへご来場ください。

推し活グッズEXPO

※推し活グッズEXPOはライフスタイルWeekの構成展です。

ライフスタイル Week


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