聖地巡礼とは?
経済効果や成功事例、ビジネス参入のポイントを詳しく解説

アニメや映画の舞台となった地を訪れる「聖地巡礼」は、ファンにとって作品の世界を体感できる特別な体験であり推し活のひとつとして楽しまれています。また、地域にとっては観光需要を生み出す新たなチャンスです。聖地巡礼が地域経済に与える影響は大きく、多くの企業や自治体が事業展開を進めています。

本記事では、聖地巡礼が注目される背景から経済効果・成功事例・ビジネス参入のポイントまで、企業が知っておくべき情報を詳しく解説します。推し活市場において聖地巡礼をビジネスに活かしたい方は、ぜひ参考にしてください。

 聖地巡礼とは?

聖地巡礼とは?

聖地巡礼とは、アニメ・漫画・映画・ドラマ・ゲームなど作品の舞台となった場所をファンが実際に訪れる行為のことです。

もともと宗教的な意味で使われていた「聖地」「巡礼」という言葉が、日本のサブカルチャーの発展に伴って転用され、現在では聖地巡礼そのものが「推し活」の一環として定着しました。

聖地巡礼は単なる観光とは異なり、物語の追体験・コミュニティ形成・SNS発信・限定グッズの収集・イベント参加など多様な楽しみ方が含まれます。

近年は訪日観光客の新たな目的としても注目されており、地域資源を活用した観光施策として自治体や企業による取り組みが広がっています。

 聖地巡礼が注目される背景

聖地巡礼が注目される背景

聖地巡礼が急速に普及した背景には以下3つの社会変化が関わっています。

①     体験価値を重視する消費者意識の変化
②     SNSによる情報拡散とコミュニティ形成
③     外国人観光客のコンテンツ需要増加

第一に、人々の関心が「モノ消費」から「コト消費」や「トキ消費」へと移り変わり、旅行者は一般的な観光地見学では得られない特別で唯一無二の体験を求めるようになりました。

また、SNSの普及によって聖地巡礼の様子が写真や動画で拡散され、ファン同士の情報共有や新しい参加者の呼び込みにつながっています。SNSを通じた発信は推し活との親和性が高く、ファンが自らの体験を共有する動きが市場拡大をさらに後押ししています。

2016年には「聖地巡礼」が新語・流行語大賞のトップ10に選ばれ、映画「君の名は。」の舞台となった岐阜県飛騨市や東京都内の各地に多くのファンが訪れるなど、社会現象として広く認知されました。

さらに、日本のアニメやマンガ文化に対する海外からの関心の高まりも追い風となっています。外国人観光客にとって、作品の舞台を巡ることは日本を訪れる大きな動機のひとつとなっておりインバウンド需要の拡大に直結しています。

体験型コンテンツについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:イマーシブとは?意味や注目の背景から体験の種類、企業の導入事例まで徹底解説

推し活EXPO

※推し活EXPOはライフスタイルWeekの構成展です。

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 聖地巡礼による経済効果

聖地巡礼による経済効果

聖地巡礼による主な経済効果は以下のとおりです。

①     観光客数の大幅増加と消費拡大
②     関連グッズ・土産物の売上向上
③     雇用創出と地域産業の活性化
④     地域ブランド価値の向上

それぞれ詳しく解説します。

①観光客数の増加と消費拡大

聖地巡礼によって、これまで観光地として注目されてこなかった地方都市や町にも、全国や海外から多くのファンが訪れるようになりました。外国人観光客を含む新しい客層が従来の観光客層に加わることで、消費の多様化を促し地域経済を活性化させます。

内閣官房が2017年の数値を基に試算した現在の聖地巡礼による経済効果では、訪日観光客のうち聖地巡礼者は140万人、アニメ関連グッズの年間購入額は約380億円規模に達しているとしています。さらに、潜在的な需要は310万人と推定され、国内消費額は4,700億円に拡大する可能性が示されています

※出典:内閣官房「基礎資料(第26回新しい資本主義実現会議の基礎資料の改訂・再編版)」

②関連グッズ・土産物の売上向上

聖地巡礼の大きな魅力のひとつが、現地でしか購入できない限定グッズや土産物です。作品にちなんだポストカード・キーホルダー・地元企業とのコラボ食品・限定フィギュアなどは希少性が高く、地域にとって安定した収益源になることが期待できます。

また、「現地でしか手に入らない」という付加価値は、購入単価の上昇やリピーターの増加につながる点も強みです。地元メーカーや職人と協力して商品開発を進めれば、地域産品のブランド化や新市場の開拓にも結びつきます。

グッズ展開を考える際は展示会などで事例やトレンドを把握し参考にすると、市場全体の動向を学びながら地域に合った商品戦略を展開することができ、さらなる経済効果を引き出せます。

訪日観光客に人気のお土産についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:外国人が喜ぶ日本のお土産は?選び方やおすすめのジャンルを紹介

③雇用創出と地域産業の活性化

観光客の増加は、宿泊・飲食・交通などのサービス業だけでなく、ショップスタッフやイベント運営など幅広い分野で新たな雇用を生み出します。また、関連グッズの企画・製造・販売や特産品の開発・観光コンテンツの造成などを通じて、地域産業全体の底上げが期待できるでしょう。

こうした動きは新規ビジネスの創出を後押しするだけでなく、聖地巡礼という推し活を通して若者のUターン・Iターンや定住・移住のきっかけにもつながり、地域の持続的な発展に寄与します。

④地域ブランド価値の向上

聖地巡礼スポットとなることで、その地名や地域自体が全国的・国際的に知られるようになります。SNS・メディア・ファンによる口コミで情報が広がれば、認知度の向上やイメージアップにつながります。

また、作品にゆかりのある地であることに誇りを持つ地元住民が増えると、地域コミュニティの一体感や住民自身の地元への愛着も高まるでしょう。

 聖地巡礼ビジネスの成功事例

聖地巡礼ビジネスの成功事例

全国各地で聖地巡礼を活用した地域活性化の取り組みが行われており、その成果が報告されています。以下では、特に大きな経済効果や地域振興につながった代表的な事例を紹介します。

埼玉県久喜市「らき☆すた」

「らき☆すた※1」の舞台である埼玉県久喜市鷲宮は、アニメ放送開始後から多くのファンが訪れる聖地となり全国的に注目を集めました。日本政策投資銀行の調査によれば、放送から10年間で約31億円の経済波及効果と約316名の新規雇用が生まれたとされています※2

また、鷲宮神社の初詣参拝者数も放映前の13万人から最大47万人にまで増加し、地域経済の活性化を実現しました※2。雇用は宿泊・飲食・土産店・イベント運営・グッズ製造など多方面の分野に生まれ、地域経済の底上げに寄与しています。

岐阜県飛騨市「君の名は。」

白川郷や飛騨高山の古い町並みで知られる岐阜県飛騨市では、映画「君の名は。※1」の公開以降も、多くのファンが作品の舞台として訪れるようになりました。

飛騨市の公表資料によると、公開年の2016年には古川町地区の観光客数が前年比13%増の27万1千人を記録しました※2。年末までには約3万6千人の聖地巡礼者が訪れ、外国人宿泊客数も前年比27.3%増の約1,500人に拡大しています※2

茨城県大洗町「ガールズ&パンツァー」

アニメ「ガールズ&パンツァー※1」の影響で、茨城県大洗町は観光と地域経済の双方で大きな成長を遂げました。野村総合研究所の推計によると、2013年4月から2014年3月の1年間で約15万9,000人が聖地巡礼を目的に来訪し、直接的な経済波及効果は7.21億円に上ったとされています※2

また、地域の一大イベントである「大洗あんこう祭り」の来場者数も従来の3万5,000人から6万人へ拡大しました※2

地元の商店街では現在も「ガールズ&パンツァー」とのコラボが続いており、長年にわたって多くのファンが訪れています。

 聖地巡礼ビジネスを成功させる5つのポイント

聖地巡礼ビジネスを成功させる5つのポイント

企業や地元の商店街が、推し活市場において聖地巡礼ビジネスへの参入や事業拡大を検討したい場合、以下の5つのポイントを意識しましょう。

①     適切な作品選定と版権管理
②     地域コミュニティとの連携体制構築
③     ファン心理に基づく体験設計
④     持続可能な収益モデルの確立
⑤     地域住民への配慮(オーバーツーリズム対策)

それぞれ詳しく解説します。

①適切な作品選定と版権管理

聖地巡礼ビジネスの成否を左右するのは、コンテンツ選びと権利管理の正確さです。特にその地域を舞台にしている作品が複数ある場合、ファン層・話題性・地域との親和性を踏まえた作品を選定することで、継続的な集客につながります。

また、正規の契約に基づいた安心できる取り組みであることを来訪者に示すため、アニメ制作会社・出版社・IP保有企業とのライセンス契約や利用範囲を明確にすることも重要です。

②地域コミュニティとの連携体制構築

聖地巡礼を継続的な集客につなげるには地域全体を巻き込んだ協力体制が不可欠です。自治体・商店街・観光協会・住民団体・地元企業が連携し、受け入れ体制やインフラの整備・情報発信を進めることで観光客が快適に楽しめるようになります。

地域に根ざした体験の提供はリピーターの獲得にもつながり、地域活性化への相乗効果を生み出します。

③ファン心理に基づく体験設計

聖地巡礼の魅力は「作品の世界に没入できること」です。そのため、現地スポットにキャラクターパネルを設置したり、作中のシーンを再現したりする工夫が求められます。

おみくじや御朱印などのコラボ商品や限定グッズ・体験型イベントを展開すれば、ファンの心に響く仕掛けの設計が可能です。また、SNS発信を意識した導線を整えることで情報拡散や新規ファンの獲得にもつながります。

④持続可能な収益モデルの確立

聖地巡礼をきっかけとした集客は、短期間のブームで終わらせず長期的な収益につなげることが大切です。周辺観光地への誘致・地域文化の発信・各地を巡る周遊パスの導入など、観光客が地域に滞在しやすくなる仕組みを整える必要があります。

地元産業・特産品と結びつけた商品開発や新サービスの展開を進めることで、継続的に収益を確保でき、地域経済の活性化も期待できます。

⑤地域住民への配慮(オーバーツーリズム対策)

聖地巡礼のブームやSNSでの拡散により一度に多くの観光客が集中すると「オーバーツーリズム」の問題が生じる場合があります。ゴミ・騒音・マナー違反を防ぐために来訪者へガイダンスを周知し、住民・事業者・ファンの相互理解を深めることで、双方にとって安心できる環境が生まれます。

生活環境や文化を尊重した施策の徹底で住民の満足度や安心感が高まり、持続的な共存関係の維持につながります。

 聖地巡礼ビジネスをはじめ推し活市場への参入・販路拡大は「推し活EXPO」へ

聖地巡礼ビジネスをはじめ推し活市場への参入・販路拡大は「推し活EXPO」へ

聖地巡礼ビジネスの成功には、推し活市場全体の動向把握と業界ネットワークの構築が不可欠です。これらの課題を同時に解決したい方は、ぜひ「推し活EXPO」へご参加ください。「推し活EXPO」は、推し活に関する最新のビジネス手法や成功事例を学べる展示会です。

会場には、推し活グッズをはじめとした推し活ビジネスやファンマーケティングに関する先進的なサービスなどが数多く展示されます。聖地巡礼ビジネスなど新規事業の立ち上げや販路拡大に必要なパートナー企業との出会いの場としてご活用ください。

来場は事前登録制で、登録をすれば無料で参加できます。また、推し活関連の製品やサービスを取り扱う企業であれば出展者としての参加も可能で、業界のバイヤーと直接商談を行うチャンスにつながります。

聖地巡礼ビジネスの参入や事業拡大を検討している企業は、ぜひ「推し活EXPO」への来場をご検討ください。

推し活EXPO

※推し活EXPOはライフスタイルWeekの構成展です。

ライフスタイル Week


※推し活サービスフェアは「推し活EXPO」内の展示エリアです。

 聖地巡礼で新時代の観光ビジネスを創出しよう

聖地巡礼で新時代の観光ビジネスを創出しよう

聖地巡礼ビジネスは、コンテンツの力を活かして新たな観光需要を生み出す効果的な手法です。本来は宗教用語として使われていた「聖地」「巡礼」が日本のサブカルチャーと結びつき、今では観光や地域振興を支える存在となりました。

市場規模は拡大を続けており、適切な作品選定や地域との連携を通じて持続可能で収益性の高いビジネスモデルの構築が可能です。

最新のトレンドやサービスを学ぶことは、自社の成長や新しいビジネスの創出につながります。聖地巡礼や推し活に関連した事業の展開を検討している企業の方は、最新の情報が得られる「推し活EXPO」にぜひご参加ください。

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